メンテナンス


メンテナンスのお勧め


当院では、虫歯の治療を終了した方には、1月〜6ヶ月の間隔で、再度来院してもらい
口腔内のメンテナンスをしていくことをお勧めしています。

口腔内のメンテナンスっていったい何をするの?ということでここにそのとき行う
処置と、その理由について書きたいと思います。

実際の処置

口腔内の清掃(歯周ポケット洗浄)

歯周ポケット(後で述べています)の中の歯石除去と、イリゲーション、(洗浄のことです)
を器械や、手用の器具で行います。どうしてもポケットの深いところや、
歯茎のはれている場合には、麻酔しての処置に変更になることもあります。
(麻酔してまでは嫌だと言う方には、それなりの処置で対応していきます。)


フッ素塗布

口腔内の清掃の後には、フッ素を塗っていきます。
フッ素は子供の虫歯予防と考える方は多いですが、実は大人にも非常に有効です。
フッ素は、歯質を強化すると言う働きや、副作用ですが、若干飲み込むことによって
腸での、カルシウムの取り込みを促進し、骨粗しょう症の予防にもなるとされています。
そしてフッ素のもう一つの効果として、細菌に対する毒性、すなわち消毒の効果も
有ります。フッ素は直接細菌に対して抗菌作用があるということです。

フッ素塗布は高濃度であれば、1年に1度から2度と言うものから、低濃度で
毎日の歯磨きのたびに口にする、歯磨材に入ったフッ素まで、さまざまな形で
利用されています。
当院では1年に1度か2度塗ると言う高濃度のものを少量、歯磨き粉に混ぜて
利用しています。したがって年に3,4回の塗布を行うようにしています。
(普通のフッ素だけでは、かなりすっぱく、まずいので子供にも同じように
歯磨き粉に混ぜて、味をごまかして歯磨材よりも高濃度のフッ素をブラッシングによって
塗っていると言うことをしています。)
フッ素に関しては、本来自費の扱いとなっています。当院では3000円の料金で
行っています。


メンテナンスする理由


口腔内には常に細菌がおり(口腔内常剤菌)体の免疫とバランスを保っています。
もちろんその細菌の数は少なければ少ないほど、歯周病や、虫歯になる率は下がる
という事で、プラークコントロールということが言われています。

また、プラークは細菌の塊ですが、単なる細菌の集合体ではなく、人体には無害ですが
ネバネバした代謝産物を出すものがあったり、疎水性の代謝産物を出すものもあります。
そして、それらが複合することにより、ネバネバが水をはじいて、プラークの中に消毒薬などの
細菌を殺す薬液が進入できなり、結果として単体では弱いはずの虫歯菌や歯周病菌を
守って共存する環境を作っています。
これをバイオフォルムと言います。

(コマーシャルでバイオフィルムを浮かせて取ると言うイメージが流れていますが
あれは全くのうそです。プラークバイオフィルムは機械的な清掃によってのみ
壊すことが出来ます。(もしくはカビキラーのように人体に害になるほどの
濃度の薬液だけです。))


さてここからちょっと難しくなりますが、虫歯のときに悪さをする菌と、歯周病のとき
悪さをする菌とは、すこし菌の種類が違います。
そしてその菌のいる場所というのも少し違うんです。

虫歯菌は歯にべったりとくっついたプラーク(歯垢)の中におり、酸素がたくさん
ある、歯茎から上のところで栄養分を代謝して、酸を作り出し、それが歯を溶かして
虫歯になっていくんです。

歯周病を起すのに中心となる菌はどこにいるのかというと、歯と歯茎の境目の溝
(これを歯周ポケット、もしくは略してポケットとも言います)
に存在しています。
歯肉の見えるとことにある歯石はメンテナンスに入る前にだいたい取り終わっていますが
歯肉のふちより深くにある歯石(これを歯肉縁下歯石と言う。)が残っている場合
その歯石の表面はガタガタなので、必ず細菌の格好の住処となり、その細菌の出す
毒素により、歯周病が静かに進行していきます。

歯周病菌は虫歯菌と違い、空気の無い所を好みます。すなわち歯周ポケットの中です。
そして、歯にベチャッーとくっつくことは無く、どちらかと言うと浮遊している感じではあります。
しかし、先ほどから出ているポケットの深さが、4mm以上ある場合、それを簡単に
歯ブラシもしくはその他の清掃道具で取れるのかと言うと、非常に難しくなります。

そこで軽い力でいいから、その浮遊している細菌を、洗い流してやる、
と言うことを、1月から数ヶ月に1度でも行ってやれば、もともと歯周病の
進行と言うものは非常に遅いものなので、メンテナンスをすることによりほとんど進行しないように
抑えることが出来ます。
(ただしこれは、歯周ポケットが4〜5mm程度の比較的浅い場合でそれより深い場合には
メンテナンスをしていても、急激に進行することがあります。)


メンテナンスの間隔と期間

ではどのくらいの間隔でメンテナンスをしていけばいいんでしょう。

歯垢はブラッシング無しで、数時間で歯の表面に付着してきます。
それが歯石に変わるのは、約2週間と言われています。(もちろん個人差があります)
普段歯ブラシをしてもらっていれば、期間はこれより延びることになります。
そこであまりブラッシングが、十分に出来ていないと考えられる方には
とりあえず1月後のメンテナンスをお勧めしています。
1月たって、どの程度汚れがついているかを見るためです。
そして、そこで綺麗だなと言うことになれば、2ヶ月もしくは3ヶ月後のメンテナンスをして
いき、虫歯治療が終わったときの状態と、1年後の状態とが変わらないように、
もしくは歯肉の状態は、より良くなっているように、というのを目指しています。


患者さんによってはこのメンテナンスの期間が、最初から3ヶ月という様に判断する方もいれば
やはり短くしたらと言う方もいます。
ここら辺は医療側、ドクターや歯科衛生士の判断と、患者さんの都合、もっとしっかり見てほしい
と言う方もいれば、忙しいのでなるべく間隔をあけて、というところで調整していきます。


その健康な状態を、1年、2年、さらには10年20年続けていって、虫歯や歯周病を
進行させない、将来ほっておいて、虫歯になり、歯周病になり
歯が抜けてから、インプラントや、ブリッジにして、そのときにお金をかけて
自分の歯を失って処置していくよりも、その前に
面倒だけれども、労力と、多少のお金をかけてメンテナンスしてもらおうと言うのが
当院の最終的な治療方針です。

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