歯の漂白(ホワイトニング)

歯を白くすること、ブリーチングもしくはホワイトニングとも言います。
90年代後半から審美歯科というものが
いわれだしてからよく聞くようになりました。また日本においても歯牙漂白をする薬剤が
認可されたのも、広く行われるようになってきた一つの要因です。
当初は漂白ということからブリーチングという言葉が使われていましたが、最近は
ホワイトニングという言葉のほうが一般的なようです。

歯を白くする方法にはいろいろあります。

1、歯を削る場合、ラミネートベニア(歯の表面を0,5mm〜1mmほど削りそこにその分の白いセラミックを張り付けて白くするもの)

2,被せ(文字どうり白い被せものをして、歯をしろくします。)

歯を削らない場合

3、生きている歯を白くする方法(歯髄が死んでいないと言う意味)バイタルブリーチングとも言います。
これには2種類あり、自分で薬剤を毎日塗る方法(ホームブリーチング)と、
歯医者さんに行ったときにそこで行われる
漂白法、(オフィスブリーチング)というものに分かれます。もちろんこれは併用することもあります。

4,また神経が死んでしまっている歯の場合には、その神経の処置をした穴の中から漂白する方法、
ウォーキングブリーチと言う方法もあります。

できることなら歯は削らずに処置するに越したことはありません。
最近は薬剤の進歩でこのバイタルブリーチングというものが結構うまくいくようになったので注目されています。
ここではこのバイタルブリーチングを中心に書いていきたいと思います。


どうして白くなるの?

まずなぜ歯が白くなるのかというところですが、歯の漂白に使われている薬剤は過酸化水素、過酸化尿素
過ホウ酸ナトリウムです。過酸化尿素は過酸化水素と尿素が弱く化合したもので、徐々に過酸化水素になるというものです。
したがって過酸化水素の作用と同じになります。
この過酸化水素の歯牙の漂白作用については詳しいことはまだわかっていませんが、
過酸化水素が分解して生じるフリーラジカルが、歯牙の着色物質を酸化分解して無色化するのではないかといわれています。

ホームホワイトニングではこの過酸化尿素が使われ、薬剤が長時間、歯の表面に作用することによって
歯牙が漂白され、オフィスホワイトニングでは30%以上の高濃度の過酸化水素を短時間、歯の表面
に作用させることによって、漂白を行います。


安全性は大丈夫なの?

ホームホワイトニングで使う薬剤はいわいるオキシドールと同じくらいの濃度の過酸化水素になるので
毒性はほとんど問題になりません。
(まれに無カタラーゼ血症という病気の方がいますが、この場合には漂白できません。)
またオフィスホワイトニングの場合には薬剤を飲み込まないような処置を行います。

副作用としては急激なホワイトニングによって、知覚過敏が生じたり、副作用ではありませんが、
白くなりにくかったり、また一度白くなっても少し後戻りを生じたり、ということがあります。

実際のやり方

ホームホワイトニング


ホームホワイトニングの場合には、マウスガードのようなトレーを作り、これに歯科で渡す薬剤を
入れて、1日2時間、これを毎日2週間続けるという方法で行います。したがって歯並びが非常に
悪い場合にはこのトレーを作れないので適応できません。

先ず最初に審査を行います。
虫歯がないか、(虫歯があるとそこがとてもしみます。)
適応症か?(あまり濃い着色、変色の場合効果が現れない場合があります)

次に口腔内の清掃を行います。これはいわいる歯石の除去であったり、歯牙表面についている
ヤニなどの、着色物を機械的に取り除くもので、これにより歯牙表面に薬剤が十分作用する
様にします。

型取。ホームホワイトニングする際に使用するマウスピースを作るための型取です。

次回来院時に、マウスピースをセットします。自分で出し入れするように練習して
あとは患者さん自信が毎日1日2時間程度お口の中にマウスピースをはめてもらう
ということをしていきます。



オフィスホワイトニング

オフィスホワイトニングの場合にはホームホワイトニング同様、審査、口腔内清掃後に、
歯の表面に薬剤を盛り、乾燥してから3分間光重合機で
光を当てたり、レーザーを当てたりして化学反応を促進し、反応を待って薬剤を取り除く
というようなことをします。約30分ほどかかります。(歯の本数によって変わってきます)
この行為を3回を1クールとして行います。
たいていの場合効果が現れにくいというので、この漂白を2クール行って漂白終了です。
(これでも効果が現れない場合には、やっても無駄でしょうということです。)

結局の所3回行うのを2クール行うのですから、1本の歯に対して6回漂白をするということになります。
当院では、これをわかりやすく分けて、歯牙1本に対して薬剤を塗って、3分光を当てるという行為、
これを最小単位として、1回、1000円という値段設定をしています。
ですから上の前歯8本を、フルに漂白したとしたら、1000円×8本×6回=48000円ということになります。
したがって、一度試してみて漂白していって、これで満足だという所で止めれば半分くらいの
値段で出来る、ということです。最初の色があまり濃くない場合、1,2回くらいで十分満足できる白さになることも
あります。

値段
これらの漂白は基本的に保険が利きません。(基本的にと書きましたが、保険があるのは
ウォーキングブリーチの時のみ1回400円だけです。患者さんの負担は120円ですね。)
事前の審査などで、保険の使用できるものはそれを流用します。

ホームホワイトニング、、上もしくは下の歯8本で4万円(ちょうど笑ったときに見える範囲くらいです)

オフィスホワイトニング、、1本1回につき1000円(1回での効果はやはり薄いです。)

注意点


残念ながら個人個人で漂白の効果は様々です。
ちょっとやっただけですごくきれいに白くなる方もおられれば
そうではなくてほとんど色が変わらない場合もあります。

漂白により一時的にしみるという症状が出ることがあります。
この場合一時ホワイトニングを中止したり、又は出来ない場合もあります。

またこのような不快症状があらわれた場合、すぐに当院に連絡をお願いします。

漂白後は、数日間はカレーや、コーラ、コーヒー、紅茶、タバコなどの着色しやすい
食べ物、嗜好品はさけて下さい。
(漂白後は色がつきやすい状態になっています。)

一度漂白したからといってその白さがずっと続くものではありません。
半年から1年くらいで元の色に少し後戻りするといわれています。

プラークなどの付着により、より色の後戻りが大きくなると考えられますので
定期的なメンテナンス(歯科医院に来院して、ブラッシング、ポリッシングなど、)
をされることを強くお勧めします。

半年くらい経てば再度のホワイトニングも可能ですが
高いお金をかけてやるものです。ぜひメンテナンスをしっかりと続けてほしいと思います。


(参考)
ホームホワイトニングの場合にはナイトエクセルという商品名のものを使用します。
オフィスホワイトニングの場合は松風のハイライトという商品名のものを使用しています。


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